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【鬼滅の刃】継ぐ子の役割

第95章 隻腕の剣士


「冨岡!!」

 一瞬を稼ぐ為に前へ出た伊黒が叫んだ。

「どのみち俺は助からない。真っ先に潰れる。あの二人を守れ。死んでも守れ!! 二人とも貴様が救った人間だ!!!」

「分かっている!!」

 冨岡は、踏み込んで来た宇那手と炭治郎に場を譲った。

 一瞬の後、鬼舞辻の管が一気に削げ落ちた。しかも、即座に回復しない。

(何を⋯⋯何をしたんだ?)

 肆ノ型を使用した炭治郎自身、状況が掴めずにいた。しかし、宇那手が次の動作に移ったので、迷う暇もなく、㭭ノ型を繰り出した。そして、唐突に理解した。

(あの人は、三つの型を同時に使っているんだ!!)

 宇那手が、壱から参、伍から漆を使用した事で、技が繋がった。彼女は日の呼吸の性質を完全に理解していた。

(そうか⋯⋯だから、四の倍数を⋯⋯。でも、それじゃあ、火憐さんの負担が⋯⋯)

 宇那手は、疲労を見せずに、次の動作に移り、技を出し切った所で一旦引き下がった。同時に冨岡と伊黒が前へ出た。

 善逸と猪之助が復帰したのを確認し、宇那手は、炭治郎を近くの建物に引っ張り込んだ。

「これで全部の管を斬った。少し余裕がある。貴方の治療をします」

 宇那手は、血鬼止めを炭治郎に打ち、左目付近に痛み止めを使用した。

「要領は分かった?」

「分かりました。でも⋯⋯あれじゃあ、火憐さんの負担が⋯⋯」

「問題ありません。私たちは、不規則に技を出して、時間稼ぎをします。私は片手が無くなってしまったので、貴方が指示を出してください。どのみち十二ノ型全てを同時に出せないのであれば、時間稼ぎをするより他にありません」

「ごめんなさい!! 俺がもっと強ければ⋯⋯ちゃんとしていれば!!」

「君は、生きているだけで素晴らしいんです。私に日の呼吸を教えてくれた。二人で戦える。心強いです。⋯⋯痛みは引きましたか?」

「はい!」

「無理をさせてごめんなさい。本来なら貴方も離脱させるべきなのに⋯⋯。不甲斐ない柱で──」
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