第15章 協力
「驚きました。貴方は変わった」
胡蝶は立ち上がり、冨岡に手を差し出した。
「宇那手さんの存在がそうさせたのですね。よろしくお願いします」
「⋯⋯俺の身に何かあったら、あの娘を頼む」
冨岡は一瞬手を握り、すぐに離した。胡蝶はクスクス笑い、首を傾げた。
「そういえば、宇那手さんが編み出した型を見たかったです。どういった物でしょう?」
「俺の凪を改良した物だ。更に集中力と体力を消耗する。俺には、真似出来無かった。使用を禁止しているが、恐らく煉獄も見たがるだろうな。守る対象が無い状態で、本気を出せば、下弦の十二鬼月の首を纏めて落とせるだろう」
「師範!」
凛とした声が夜の闇を貫いた。宇那手が、抜刀し、駆け付けて来た。
「何かあったのですか?!」
「いや。起こしてすまない」
「宇那手さん! 支給された隊服をそのまま着ているのですか?!」
胡蝶は、羽織の無い姿を見て、絶句した。ブーツで膝下まで保護されているとはいえ、スカートの丈が膝上だ。
「はい。特に不便は感じておりません」
宇那手は首を傾げた。
「俺は不愉快だ」
冨岡は、また言葉少なに不満を口にした。外ならともかく、靴を脱ぐ屋内では、肌が見えてたまった物ではない。
「縫製係を殺してやる」
「あ〜! それでしたら、喜んで協力します!」
胡蝶は怒りの篭った笑顔を浮かべた。
「前田まさお様ですね! 私から文を送りますよ! せめて膝丈ですよね」
「つまり、私の服装が不快であったという事ですか?」
宇那手は、悲しげに問い掛けた。
「申し訳ございません。配慮が足りませんでした」