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【鬼滅の刃】継ぐ子の役割

第94章 最終決戦


「少し、危険な賭けでした。これまで、誰も菖蒲を毒として使った事が無い。全く効果が無いか、劇的に効くか──」

「そんな事の為に右腕を犠牲にしたのか!! 分かっているのか?! 悲鳴嶼とお前が倒れれば厳しい状況になる!!」

「言ってませんでしたっけ? 私、左手だけでも戦えるんですよ」

「火憐さん!!!」

 浅井が、隠に連れられてやって来た。愈史郎は彼の腕を引っ張り、鬼の形相で詰め寄った。

「今回の輸血は、火憐の復帰が最優先だ。お前を殺す気は無いが、極限まで血を抜く」

「勿論です。それしか出来ませんから!!」

 浅井は快諾した。宇那手は、自身が守り切った少女に目を向けた。

「カナヲの治療も──」

「私、擦り傷だけ!!」

 カナヲは宇那手の身体に取り縋った。

「すぐ戻れるから──」

「嘘。⋯⋯右目、殆ど見えていないでしょう? 分かる。鬼舞辻もきっと分かる。死角が増える。貴女の復帰は、師範として許可出来ません。後方支援に回りなさい。⋯⋯ただし、私が死んだら、自由にして構わない。貴女が⋯⋯私の死を望まない事を願います」

「う⋯⋯うわぁぁぁぁぁ!! ズルいよ!!! そんなのズルい!!!」

「大人はそんなものです」

 宇那手は、優しく微笑んだ。早期に止血した事、輸血を受けられた事により、脈は安定していた。

「⋯⋯火憐。大人として、お前を止めるべきだと分かっている」

 愈史郎は苦し気に語り掛けた。

「だけど、残りの柱だけでは、保たない!! 珠世様の命が無駄になってしまう!! 許してくれ!! 頼む!! 戦ってくれ!!」

「元よりそのつもりです。大丈夫です。日の呼吸の使い手が二人いる。技を繋げる。一時間後には、晴れて自由の身です」

 宇那手は、夜明けの近い空を見上げた。

「勝ちますよ」
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