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【鬼滅の刃】継ぐ子の役割

第93章 反旗


「良いだろう、火憐。お前はその柱の前で、四肢を捥ぎ、順に食ってやろう。出来る限り、酷い死を与えてやる」

「そんなことはさせない!!」

 痺れを切らしてか、伊黒が姿を表し、斬り掛かった。同時に甘露寺が宇那手の身体を抱えて後退した。

「ごめんね、火憐ちゃん。怖かったよね! 私の方が歳上なのに!!」

「甘露寺さん⋯⋯」

「もう貴女を一人にはしない!! しのぶちゃんを助けられなかった!! 貴女は絶対守るから!!」

「何をしている鳴女!!」

 鬼舞辻は青筋を立てて叫んだ。

「⋯⋯愈史郎さんですね。彼を手助けしなければ」

 宇那手は、冨岡と伊黒の猛攻に加わった。

「私が触手を振り払う!! 四倍の速度は対応可!! 冨岡さん、漆ノ型を!!」

「この状況で、良く判断が出来るな」

 伊黒は手放しに賞賛した。自分が主に使う呼吸以外も研究していた宇那手だから、出せた指示だ。漆ノ型は、水の呼吸唯一の突きの技だ。

(水の呼吸、拾壱ノ型、凪)

 宇那手は、ひたすら仲間を守るために刃を振るった。

「甘露寺さん!! 竈門君の傍を離れないで!! 愈史郎が勝てばこの空間は──」

 言うなり、鬼舞辻は、鳴女を放棄した。あれだけ気に入り、傍に置いていた鬼を、あっさり殺した。

 城は激しい勢いで上昇して行く。その過程で、多くの遺体が宇那手の目に入った。

(⋯⋯私の判断は正しく無い。でも、だけど⋯⋯)

「日の呼吸、拾ノ型、火車」

(一人でも多く連れて帰りたい!!)

 次々と技を出す宇那手を見て、炭治郎は煉獄を思い出した。彼も、多くの技を出し、乗客を全員守り切った。

(だから火憐さんは、羽織を受け継いだんだ⋯⋯。あの人の話す事は難しいし、俺はすぐに理解出来ないけれど⋯⋯凄く優しい人なんだ⋯⋯)

 かくして、鬼舞辻無惨は地上に引き摺り出された。
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