第89章 激怒
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「なんだアイツ! 化け物かァ?!」
不死川は、震える手を押さえた。冨岡が、彼処まで感情を露にするのは、始めての事だった。
(ずっと隠してるのか? あんな怒りを。何も言わない事が⋯⋯アイツの自衛なのか?!)
「⋯⋯誤解⋯⋯していたのか⋯⋯?」
不死川にとって、冨岡は意味不明な人間だった。何を考えているか分からず、偶に口を開けば神経を逆撫でする様な事を言い、柱の誰かが殉職しても顔色一つ変えない不気味な存在だった。
「クソがァ! どいつもコイツも、弱過ぎるんだよォ! さっさと辿り着け!! 最終地点へ!! アイツが⋯⋯殺される前に⋯⋯」