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【鬼滅の刃】継ぐ子の役割

第87章 着いて行く


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「心臓が七つに、脳が五つか」

 伊黒は頭を抱えていた。不死川も、処置無しと言いたげに蒼天を仰いでいた。それでも、伊黒は案外冷静だった。

「脳はともかく、心臓を同時に攻撃できれば、動きを止められるかもしれん。増やしたと言うことは、つまり必要だったと言う事だ」

「お手軽な話だなァ!」

 次々と問題が増えて、不死川は音を上げた。毎朝八時の連絡がある度に、伊黒、不死川、悲鳴嶼は安堵していた。

「無茶苦茶じゃねェか。体温と心拍数を上げた上で、刀身に熱を加え、七箇所を同時攻撃。そして、恐らく頸は頸じゃねェ! これで合ってるか、悲鳴嶼さんよォ」

「間違いない。⋯⋯他の柱の協力が必須だ。冨岡、甘露寺、胡蝶に、どうやって共有すべきか⋯⋯。そもそも胡蝶は──」

 上弦ノ弐と遭遇すれば、確実に相討ちとなる。残りの柱が全員無事だとして、ギリギリ七人だ。それも、宇那手を含めて。現状、彼女がどの段階で戦線復帰出来るか、全く読めない。

 更に付け加えるなら、風の呼吸や、水の呼吸は斬る事に特化しており、突きの攻撃には全く向かない。

「もう一つ、対処すべき事があるだろう」

 伊黒は、眉尻を下げて呟いた。

「火憐が打っていた帳簿の文字を書き取っておいた。恐らく、鬼舞辻が仕入れている薬の一覧だ。俺には読めないが、胡蝶なら分かる筈だ。だが、これを渡せば、当然どうやって入手したのか詰問されるだろうな」

「⋯⋯一つアテがある」

 不死川は文書を奪い取って、隊服に仕舞った。

「不本意だが、俺は、鬼の医者を知っている。胡蝶やお館様に協力しているヤツだ。ソイツに渡せば、なんだか分かるだろうよ」

「鬼の医者?」

「問題無い。信頼出来る。以前火憐を助けて貰った。一晩泊めたが、人を襲わず、嘘も吐かなかった。鬼舞辻の呪いも外している」
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