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【鬼滅の刃】継ぐ子の役割

第82章 上弦ノ肆


 甘露寺が駆け付けた事で、戦力のバランスは取れた。宇那手が気に掛けていたのは時間だ。

(夜明けまで四十分⋯⋯)

 彼女は、里へ向かう直前に、産屋敷と交わした最後の会話を思い返していた。

(現状竈門君の戦力は、禰豆子さんの能力を加味しての評価。彼女を夜明け前に離脱させないと。⋯⋯日光を克服した姿を、天狗に見せるわけには行かない)

 天狗の場所はすぐに分かった。なんと、甘露時が一人で相手をしていた。

(水炎の呼吸、肆ノ型、盛炎打斬)

 打ちつける様な斬撃で、青年の姿をした鬼の技を切り刻んだ。

「甘露寺さん、状況は?!」

「火憐ちゃん!! この鬼分裂するの!! 本体は竈門君達が追ってる!!」

「了解。少し休んで!! 話を聞きながら」

 宇那手は、圧倒的な威力の技を連続して繰り出した。

「こっちは伍を討ちました。負傷者四名。無一郎君は毒を浴びましたが、血清を打ち、命に別状はありません」

 淡々と告げる彼女の姿に、甘露寺は勿論、半天狗も驚愕していた。

(こやつ⋯⋯これ迄の柱とは格が──)

「考え事?」

「何故だ?! あのお方だけのはず!!」

「私の身体は、人でありながら、極めて鬼に近い性質を持っている。彼岸花の薬を摂取し、剣士として五感を磨く訓練も受けている。ある程度なら、見通せるの。ねえ、貴方はどうして鬼になったの? 私なら人間に戻してあげられる。痛みの無い方法で頸を斬れる。答えて」

「私は弱き被害者だっ──」

「嘘」

 宇那手は、天狗の目を切り裂いた。

「嘘ね。うーん。全部は分からない。でも、貴方は弱者のふりをして、人を騙し、殺した事がある。私、最近気付いたの」

 彼女は左手を刀身に押し当て、刃を赤くした。

「人は何処までも残酷になれるって。⋯⋯この刀に見覚えは無い? 貴方の細胞が恐怖に縮み上がっているはず」
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