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【鬼滅の刃】継ぐ子の役割

第81章 上弦ノ伍


「お前にとって、何の利がある?」

「利が無くとも、情で動くのが人間ですので。場所を確認し次第、元の場所へ帰してください」

「分かった」

 鬼舞辻は短く答え、何らかの手段を用いて、玉壺と半天狗に情報を伝え、そして事実を確認した。

「どうやら真実らしい。良いだろう。帰してやる。存分に戦え。⋯⋯ 猗窩座」

 刹那、鬼舞辻の腕が宇那手の背後を狙って伸びた。一秒以下の攻撃を視認し、宇那手は刀を抜き、触手と呼べる手を切り払った。

「何故庇う?」

 鬼舞辻は、攻撃を無効化された事に驚きつつ訊ねた。宇那手は、真っ直ぐ彼を見据えた。

「私は、猗窩座を憎むべきか、判断しかねています。彼は炎柱を殺しましたが、女性隊士、恋柱を殺さなかった。彼は何故、鬼になったのですか?」

「そいつは、人間の身でありながら、素手で数十人の命を奪った。鬼にする以前から、鬼だったのだ」

「普通の人間は、何の理由もなく他者を傷付けません。貴方ですら、理由があって医者を殺した。⋯⋯この鬼は、人間の頃の記憶が無いのですね?」

「そうだ。だが、奪ったわけではない。鬼に変貌した時点で失っていた」

 鬼舞辻は、スッと目を細めた。

「悠長に話をしていて良いのか? 既に何人か死んだ」

「私は鬼も救いたい。その気持ちは変わりません。ですが、猗窩座が何も覚えていないのなら、残念ですが、どうしようもない。最終的には、戦うしかありません。戻ります」

 宇那手が答えると、琵琶の音が響き、里の入り口に放り出された。既に騒ぎが起きており、鐘が鳴り響いている。

 近くには隊士が倒れており、事切れていた。

(甘露寺さんはまだ来ていない! 玄弥は竈門君といる。彼らの戦い方は読み難いはず。無一郎君を⋯⋯)

 時透が壺の鬼にを相手にしているのは分かった。しかも、職人を庇っている。分が悪い。
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