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【鬼滅の刃】継ぐ子の役割

第13章 託す


 冨岡は、鴉からの伝令で、煉獄が明日にでも宇那手の稽古をつけてくれる旨を聞いた。

 当然、向上心の高い宇那手は、それを望んだが、まずは炭次郎の元へ向かう事を優先した。

 蝶屋敷に着くと、冨岡は胡蝶に話があると姿を消し、宇那手はアオイに導かれて、病室へ向かった。

 かなり遠くからでも、喧しい騒ぎ声が聞こえる。

「あれは、善逸様の声ですか?」

「そうです。毎日あの調子で、薬もロクに飲みません! そのせいで回復が遅れています!」

 アオイは相当イライラしていたらしく、不満をぶつけて来た。

「その点、炭次郎さんと、伊之助さんは、治そうと努力しておられます。一刻も早く戦線復帰をしたいと。特に、炭次郎さんは」

「まあ、炭次郎様と意思疎通が図れれば、問題ありません」

 宇那手は、案外冷めた返答をした。一度言葉を交わした相手で、強さを認めた人間に対しては、優しく、親切だったが、自分の力量も図れず、無様に騒ぎ立てる人間には容赦が無かった。その点は師範と同じ方針だ。

 彼女は一応病室の扉を叩いてから、中に入った。

「善逸様⋯⋯。惨めな声が屋敷の端まで聞こえて来ましたが、また胡蝶様やアオイ様にご迷惑を掛けているのですか?」

「ああああ⋯⋯貴女は──」

 ようやく静かになった善逸の側に、宇那手は腰を下ろした。アオイは気を遣って立ち去って行った。

「以前お会いしました、宇那手です。水柱の継子です。⋯⋯そんなに薬を飲む事が嫌なら、飲まなくても良いんですよ。それは、とても高価な物です。他の重症者へ回す様、胡蝶様にお話しておきます」

「⋯⋯で⋯⋯でも」

「笑止千万!!!」

 突然叫んだ宇那手に、善逸も、炭次郎も飛び上がった。その気迫といったら、本気で怒った冨岡と同じくらい⋯⋯いや、それ以上に恐ろしかった。窓ガラスがビリビリ音を立てている。

「中途半端な覚悟で、まだ鬼殺隊員を名乗るか!! 今すぐ退役し、二度と戦場に出るな!!! 師範や柱の足を引っ張るくるいなら、さっさと辞めてしまえ!!! 一日五回の薬が飲めない?! そんな男が全集中常中を身に付けられる物か!! 血を吐く思いで鬼と戦い続けている者の妨げとなるな!!!」
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