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【鬼滅の刃】継ぐ子の役割

第77章 竈門禰豆子


「そんな⋯⋯」

 炭治郎は言葉に詰まってしまった。しかし、宇那手は、手を止めて微笑んだ。

「だけど、そんな私の行動が冨岡さんを変えたんです。私の盲愛、見返りを求めない行動は、愛情となって返って来た。私も、より自然な形で、あの人を愛せる様になった。あの人が愛していると言ってくださったから、私に心が生まれた。他の人達に目が行く様になり、言葉とその裏側にある本当の心を感じ取れる様になった。今は、戦って、生き残りたい。それが難しいと分かっているから、冨岡さんを守って死にたい。でも、本音は一緒に生きたい。君と同じです。誰一人欠ける事無く、一緒に生きたい」

「鬼も、救いたいんですか?」

「可能な限り。現実的な方法も考えています」

 宇那手は、禰津子の髪の毛を整え終え、炭治郎と向き合った。

「誰にも話してはいけません。鬼を人間に戻す薬は、ほぼ完成しています」

「え?!」

「静かに。⋯⋯完成しているのですが、鬼舞辻に使うとなると、色々と問題があります。まず、ヤツは人間に戻る事を拒むので、薬の分解を試みるはず。この点への対処は珠世さんにお任せしています。私が手を着けようとしている仕事は、別の件について。私が鬼舞辻と取引している事は、ご存知ですよね?」

「はい。かなり危険な任務をされていると聞きました」

「ヤツは、日光を克服し次第、上弦の鬼を取り込み、全ての鬼を殺すはずです。自分の命を脅かす存在を、決して生かしてはおかない。私は鬼殺隊を離れ、鬼舞辻に随伴するつもりです」

「待ってください!! そんなの危険すぎ──」

「だから、私にしか出来ないのです。これまで築いた関係があってこその作戦です」

 宇那手は、鋭い視線で炭治郎を見据えた。

「私は、禰豆子さんの様に、鬼に変貌する事に抗おうとした個体や、既に飢餓状態を脱却し、鬼になった事を悔やんでいる者に、人間に戻るための薬を打ち込みます。薬の分解を試みない個体には十分作用する物です。鬼舞辻は、鬼の身体を通じで毒の情報を得られる。双方に利のある計画です。鬼舞辻は、私をより信用し、私が楯突くまでは側に置く。確信があります」
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