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【鬼滅の刃】継ぐ子の役割

第73章 死の淵


「冨岡さんは、当分鬼の襲撃を受ける可能性があるので、元炎柱様が護衛についています。元炎柱様と、火憐さんは、接近禁止令が出されましたので、此処へは来れません。鬼の医者がいるのでしたら、尚更」

「知ってたのか。鬼の医者のこと」

「はい。火憐さんから聞かされていましたので。実際にお会いするのは初めてで、驚きました。気配も、普通の鬼とは違いますし」

「⋯⋯愈史郎は、人を喰ったことがありません。ですが、私は」

 珠世は歩みを進めながら、重い口を開いた。

「私は、数百年前に喰ったことがあります。始まりの呼吸の剣士と誓いを交わしてからは、一度たりとも人を傷付けてはいませんが。許して欲しいとは思っておりません。ですが、この手で鬼舞辻無惨を地獄へ引き摺り落とすまでは、時間をいただきたいのです。それが、せめてもの罪滅ぼしと考えております」

「テメェが火憐を助けて、鬼舞辻無惨を殺す計画を話すんなら、考えてやる!」

 不死川は、ありったけの嫌悪を込めて返した。

 善逸が使っていた部屋に移ると、宇那手は、布団に横たえられ、不死川は刀を抜いた。

「左の肩を刺すぞォ!」

「待て待て! 用意が先だ!!」
 
 愈史郎は、慌てて遮ると、止血用の紐や包帯を用意し、もう一度宇那手に視線を向けた。

 彼女は額に汗を浮かべて、浅く早い呼吸を繰り返している。

「珠世様。あの薬を使うべきだと思います」

「私もそう考えています。この方は鬼にはなっていない。鬼舞辻に知られる事も無いでしょう。私が浅井さんから採血をしますので、貴方は火憐さんの処置を」

「かしこまりました。おい、傷男!! やれ!!」

「なんだか知らねェが、俺のせいで死んだなんて言うなよ!」

 不死川は、剣を振り上げた。愈史郎は、全力で宇那手の身体を押さえ込んで固定した。

 日輪刀は、宇那手の左肩を貫通し、即座に抜かれた。

「あっ!!!!」

 宇那手は悲鳴を上げて、首を切られた魚の様に痙攣した。
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