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【鬼滅の刃】継ぐ子の役割

第73章 死の淵


「俺がやる」

 不死川は刀を抜いた。

「俺は稀血だ。自分を斬って、その血で鬼を酔わせている。何処を刺せば派手に血が出て、死なねェか理解してる」

「止めろ!! この様子だと、刺された衝撃で死ぬ可能性が高い!!」

 愈史郎は、宇那手に覆い被さる様にして庇った。膠着状態だった。

 其処へ、更なる客が駆け込んで来た。

「火憐さん!!!」

 浅井が息も絶え絶えに、言葉を紡ぐ。

「と⋯⋯冨岡さんが⋯⋯貴女の様子がおかしいから、後を追えと⋯⋯。どうなって⋯⋯」

「見ての通りだァ」

「助かった」

 愈史郎は、不死川を押しのけて、浅井の頭を鷲掴みにした。

「さっさと来い!! 死に掛けてる!! 血が必要だ!!」

「愈史郎、やめなさい」

 珠世は、ドスの効いた声で諌めた。

「まず、その方に呼吸を整えていただいて、水を飲ませましょう」

「血なら幾らでも差し出します!!」

 浅井の言葉に、珠世は目を伏せた。

「火憐さんは、自身の為に、他の人間が犠牲になる事を望む方ではありません。まずは、呼吸を落ち着けて。輸血は二回に分けて行いましょう。⋯⋯その前に、陽光の差さない部屋へ移動したいです。少なくとも朝まで傍を離れるわけには行きませんので。その希望に応えていただけない場合⋯⋯残念ですが、私たちは今すぐ此処を去ります。お許しください。私の悲願は鬼舞辻無惨を抹殺すること。此処で死ぬわけには行きません。また、何百年先になるか分かりませんが、火憐さんの様な剣士が現れるまで、待ちます」

「分かったァ!!」

 不死川は、ヤケクソになって叫んだ。

「部屋は用意してやる! その代わり、火憐を死なせるなァ!! もし死なせたら、その男の首を刎ねてやる!! 察するに、計画の主導は女の方だな?!」

「ありがとうございます」

 珠世は丁寧に礼を言い、宇那手を抱き上げた。軽々と持ち上げた辺り、流石鬼だ。

「浅井! 冨岡は何故来ねェ?!」

 不死川の怒り様に、浅井は姿勢を正した。
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