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【鬼滅の刃】継ぐ子の役割

第67章 心のままに


「此方をご覧ください」

 宇那手は守り袋を、取り出し、封を開けた。通常許されざる行為だが、中身を見て、青年は口を覆った。

 目玉だ。陽光に当たった瞬間、焼けて崩れた。つまり鬼の一部だ。

「何ですか、コレ!! なんて物をアイツ!!」

「鬼側に、位置探知に優れた者がいる事は把握していましたが⋯⋯。隊士の動きを探っていたんです。恐らく産屋敷邸には持ち込まれていない。コレを、どうやって入手しましたか?」

「鴉が⋯⋯鴉が!!」

(鴉が利用されている⋯⋯。全体のどの程度? お守りは、多分佐伯さんが最初に鬼と接触した時に奪われた物だ)

「落ち着いて聞いてください。鬼舞辻の目的は、貴方が負傷し、蝶屋敷に運ばれる事です。蟲柱の拠点を探るために、貴方は利用されたんです。善逸君は、上弦と渡り合える人ですから、貴方は重傷を負っていたでしょう。当分、藤の紋の屋敷に身を隠してください。これは柱からの命令です。貴方の鴉も念のため交換します。以上」

 宇那手は一方的に話を打ち切り、思案した。

(善逸君にどう知らせれば良い?! 鴉は危ない。お館様にもお伝えしないと⋯⋯。でも、私が浅草へ行ってしまったら、しばらく接触出来ない。危険過ぎる!!)

 彼女が悶々と悩んでいる内に、汽車は駅に着いた。すっかり狼狽した様子の青年隊士は、肩を落として降りて行った。

(どうしよう⋯⋯。でも、私が偶然出会さなければ──)

 ──偶然?

(あの人が何処から来たか聞くべきだった! 浅草へ向かうなんて⋯⋯考えられない。あの周辺には、鬼なんか配置していないはずだ! 追っていたのは、もしかすると──)

「火憐」

 突然名前を呼ばれ、宇那手は驚いて顔を上げた。

「ど⋯⋯どうして此処に?!」

「手紙を読んだ。お前なら、浅草に向かうだろうと思った。時透の鴉よりも先に、お前を追う事が出来て良かった。俺は何をすれば良い?」

 冨岡は、責めるでも、怒るでもなく、静かに問い掛けた。
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