• テキストサイズ

【鬼滅の刃】継ぐ子の役割

第66章 真の鬼


「私の事を嫌っていたのでは?」

「お前が先に殺意を向けて来たからだろう! 鬼殺隊の負の側面だ」

 愈史郎は、あからさまに不機嫌な表情を浮かべた。

「相手が鬼なら、どんな心の持ち主でも、即殺そうとする!! 鬼を、鬼たらしめているのは、お前らだ!! ⋯⋯炭治郎と火憐だけだったよ。最初から悪意を持っていなかったのは。だからこそ、俺たちは、あの二人に連なる人間を信用出来る。産屋敷に協力してやるのも、今代限りだ。必ず無惨を殺せ。約束してくれるのなら、出来る限り手を貸してやる」

「⋯⋯助けは、必要ありません」

 胡蝶は決断した。悪意や、意地、矜持からの拒絶では無かった。

「珠世さんが命を賭けるとおっしゃっているのに、私だけが生き延びるわけには行かない。それに、聞いていたでしょう? 私の死には、意味がある。鬼舞辻を騙せる。貴方は、火憐さんや、冨岡さんを助けてあげてください。輸血の計画も聞いているのでしょう? まだ、この国では、その処置をこなせる医者がいません。頼りにしています」

「そうか。じゃあな」

 愈史郎は背を向けた。胡蝶は俯き、考えた。愈史郎が本当に助けたいのは、珠世のはずだ。命に代えてでも、守りたいと思っている。

「愈史郎さん、ごめんなさい。ありがとうございます」

「⋯⋯また来る」

 愈史郎は、振り返らずに立ち去ってしまった。胡蝶は大きく息を吸い、頬を叩いた。

(姉さんも正しい。他の柱の考えも正しい。でも、揺るがぬ事実がある。禰豆子さんは、命懸けで人を守り、望んで鬼になった愈史郎さんも、人を喰わずに生きている。私たちと同じ。複雑な感情を持っている。本当に憎むべきは、鬼の様な心を持った生き物です。鬼であれ、人間であれ、心を見るべきでした)

 彼女は羽織をキツく握り、決意を新たにした。
/ 766ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp