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【鬼滅の刃】継ぐ子の役割

第63章 冷たい愛


「失敗しても、恨む人はいないんじゃないですか? 少なくとも俺は恨まないです」

「嘘です! 貴方はこんなにお兄さんに会いたがっているのに!!」

「確かに、そうです。でも、隊士になった時点で、死ぬ覚悟は出来ていますから。それに、貴女の力を目の当たりにして、強大な敵と戦って死ぬのは、仕方ないと思えました。女性が⋯⋯岩を砕くなんて⋯⋯どれだけの鍛錬を積んだか⋯⋯。きっと兄貴も⋯⋯。俺の努力じゃ足りないんです。努力が出来る才能を持った人の盾になるのは、仕方の無いことですから。すみません。貴女の隣に立てなくて。俺じゃ、力不足ですよね⋯⋯」

「⋯⋯ごめんね」

 火憐は泣くことすら出来ずに、俯いた。

「信用出来なくて、ごめんね。頼れなくてごめんなさい。でも、貴方は弱過ぎる。可能性は秘めていても、今、一緒に戦う事は出来ない。対等な人間であっても、対等な剣士じゃない。⋯⋯玄弥君」

 火憐は立ち上がると、深呼吸をした。

「君の同期で、上弦を討った竈門君は今、重体です。彼は回復し次第、訳あって此処へ来ます。彼の気配を辿って、上弦の鬼がやって来ます。貴方は治療と同時に、戦闘に加わる為に此処にいます。里に常駐している、年上の隊士よりもあてにされている。逆に言えば
貴方よりも年上の隊士は、殺されると想定されているのです。私の他に、柱が二名派遣されますが、一名は不調。もう一名は独特の呼吸を使う剣士です。現場の指揮は私が取る事になるでしょう。君に頼みたい事は二つ。私が撤退せよと命じたら、私たちを見捨てて、素直に従う事。もう一つ。君は竈門君の傍で戦い、可能な限り鬼の視界を封じる事。出来ますか?」

「やります!」

「そっか。ありがとう」

 火憐は笑って、玄弥の頭を撫でた。
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