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【鬼滅の刃】継ぐ子の役割

第61章 立場※


「あります」

 火憐は、ゆっくり身体を起こした。しかし

「あっ」

 立ち上がろうとして、腰が砕けてしまった。慌てて冨岡が支えると、火憐は困った様に笑った。

「ずっと⋯⋯腰がぞくぞくしていて⋯⋯。身体が溶けてしまいそうでした」

「しょうのない奴だ」

 冨岡は、内心興奮を覚えながらも、火憐#の着替えを取ってやった。

「早く着替えろ。風邪を引く」

 火憐が、もたもた着替えている内に、冨岡は洗濯物の山を畳んで、部屋の隅に置いた。明日の当番は卒倒するかもしれないが、火憐に洗わせるのも気恥ずかしかった。

 彼女が着替え終わってから、冨岡は肩を支える様にして、立たせ、共に部屋を出た。

 驚くべき事に、柱の影に桜里が潜んでいた。帯刀して。

「師範、大丈夫ですか?」

 彼女は冨岡を無視し、火憐に問い掛けた。

「大丈夫。貴女、ずっと此処に? 風邪を引くでしょう!」

「師範が本気で嫌がる様でしたら、刺し違えてでも、止めるつもりでした。その様な事にならず、何よりです」

 桜里の言葉に、冨岡は悪寒を覚えた。彼女は、段々と出会った頃の火憐に似て来ている。段々と。

「ありがとう。でもね⋯⋯」

 火憐は、礼を言いつつ言葉を探した。

「冨岡さんは大丈夫よ。貴女の気持ちは、嬉しい。でも、何より自分の命を優先して欲しい。それに、私も、私の情けない声は、あんまり聞いて欲しく無いかな」

「失礼しました」

 桜里は慌てて頭を下げた。

「申し訳御座いません。私としたことが、不躾な真似を⋯⋯。お許しください」

「怒っていないから、許す必要も無いですね。貴女も、私と一緒に目を覚ましていたでしょう? 今晩はゆっくり休んでください。明日は打ち込み稽古を付けますから」

「はい。失礼致します」

 桜里は、自分の部屋の方へ戻って行った。
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