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【鬼滅の刃】継ぐ子の役割

第57章 家族の絆


「赦しはいらない。でも、一香が貴女を事前に私に託さなかったのは、一人生き残る方がよほど辛いと知っていたからなの!! 死ぬよりも、残されて生きて行く事の方が辛いと!! ⋯⋯そういう話を⋯⋯沢山聞いていたから⋯⋯。鬼に家族を殺され、生き残った人の話を聞いていたから⋯⋯。愛しているから、一緒に死にたい、と!! 傍にいたいと!! 一人には⋯⋯させられないと⋯⋯」

(ああ⋯⋯そうか)

 火憐は、初めて母親に共感を覚えた。母は、藤の紋の務めについて、家族の誰にも相談しなかった。一人で抱えていたのだ。生きて行く事は、時に、死ぬよりも辛い。母は、それを思い知って、打ちのめされていたのだ。

 望んだ形で無くとも、共感出来ない価値観であっても、一緒に死にたいという母の思いは、確かに愛だった。求めていた愛情の種類と違っただけだ。

(悔しいな⋯⋯。家族なのに、何一つ話せなかった。私の本音も。私がもっと早く鬼狩りになっていれば⋯⋯)

 そう考えてから、火憐は、冨岡に掛けた言葉を思い出した。前を向いて、今生きている者を見詰めて、必死に生きて、そして死のう、と。

「さようなら、叔母さん。手紙を送ります」

 火憐は、藤の紋の屋敷を後にした。すぐに、後藤が姿を見せた。

「あれ?」

「次は元柱の煉獄さんの屋敷っす」

「忙しいですね。よろしくお願いします」

 火憐は、お辞儀をして後藤に背負われた。
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