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【鬼滅の刃】継ぐ子の役割

第56章 さようなら


 それは、冨岡が自身に何度も何度も言い聞かせて来た言葉だった。しかし、冨岡はそれをどうしても咀嚼出来なかったのだ。かつて同じ言葉を掛けてくれた親友がいた。だが、上手く行かなかった。

 辛い過去や、己の未熟さを思い返す度に、死んだ方がましだという考えが、脳裏に浮かぶのだ。それを乗り越えられないからこそ、彼は柱に相応しくないと思っていた。

 他の柱が、当たり前の様に堪えてる事が出来ないのだ。だから、火憐には、水柱を継がせ、自分は身を引くつもりだった。しかし彼女は、横に立つ事を選んだ。

「私は屋敷に戻ります。まだ竈門君達も危険な状態ですし」

 胡蝶が部屋を去った。続けて宇髄も。

「俺も飯食って、ガキどもの世話をしねえとな」

「私も夜の任務に備えよう」

 悲鳴嶼が立った事で、冨岡は一人取り残された。また何時もの様に、呆れ顔や、溜息を投げられて。こうやって人が離れて行くのは、初めての事では無かった。
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