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【鬼滅の刃】継ぐ子の役割

第56章 さようなら


「嫌でも、現実を見ろ。柱の煉獄は殺された。俺も上弦の陸を相手にしてこのザマだ。まあ、天才肌の火憐や、時透ならなんとかなるかもしれんが、正直言って冨岡。俺はお前が一番気掛かりだ。一応実績は知ってる。だが、火憐の様な化け物じみた気配は無い。俺様より強いかどうかすら、判断がつかない。恐らくお前は、天才や特異体質の人間じゃねえな? 血を吐く様な努力をして這い上がった、並の人間だ」

 宇髄は、敢えて厳しい言葉を連ねた。

「元々百の力を持っている努力家の人間に、一しか持っていない人間は、幾ら努力したところで敵わねえ。俺はそれを痛感した。冨岡、腹を括れ。生き残りたけりゃ、これまでと同程度の鍛錬では足りない」

「分かっているが、そもそも俺は水柱じゃない」

「お前、また意味不明な事を言い出しやがったな。お前は柱の条件を満たしている。だから、柱になったんだろう」

「いや⋯⋯そもそも俺は──」

「つべこべ言わず努力しろ! さては努力が嫌いか?!」

「努力は意味が無いのだろう?」

「お前、ぶん殴られなきゃ分かんねえのか?!」

 宇髄は残された右腕で冨岡に掴み掛かった。

「お前の才能が一で、火憐が百だとする。例えお前が死ぬほど努力して、百にしかなれなかったとしても、一よりはずっとマシだと思わねえのか?!」

「それでも俺は荷物になる。死んだ方が──」

 甘露寺が、誰より素早く動いた。冨岡の頬を張り飛ばしたのだ。

「馬鹿ァ!!!」

 彼女の腕力で、冨岡は壁まで吹っ飛ばされた。

「どうしてそんな事が言えるの?! 宇那手ちゃんの、命懸けの行動を、どうして否定するの?! 冨岡さんだって、誰かに守られて生き残ったんでしょう?! 誰だって死にたくないに決まってる!! それでも冨岡さんの命を選んだのに!! 酷いよぉ」

 甘露寺は、わんわん泣き出してしまった。
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