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【鬼滅の刃】継ぐ子の役割

第55章 心の蓋


 小部屋に入ると、桜里が殆ど叫ぶ様に火憐に呼び掛けていた。

「火憐さん!! 起きてください!! お願い!! 私の⋯⋯力じゃ⋯⋯」

 火憐は自分で自分の首を絞め様としていた。

「宇那手!!」

 冨岡は、あっという間に彼女の両手首を束ねて掴み、頭上に纏め上げた。

「嫌だ!! 殺して!!」

「宇那手!!」

 冨岡が強く揺さぶり、頬を叩くと、彼女は目を覚ました。

「鬼ですか?!」

 瞬時に臨戦態勢を取ろうとした火憐を、冨岡は強く抱きしめた。

「見た夢の内容を覚えているか?」

「⋯⋯いいえ」

「覚えているな。話せ」

「あ⋯⋯ああ」

 火憐は冨岡の首に縋り付いた。

「私⋯⋯童磨に子宮を壊されたんです!! あいつは人間を玩具の様に扱う!! 私のせいで、あいつは信者の女を抱く様になった!! きっと、私と同じ目に遭った人間が何人もいる!! その人達は、身体を元には戻せない!! しかも、二人、死んでいるんです!! 童磨が信者を弄んでいる所を見てしまって!! 私のせいで!!」

「それだけか? 違うだろう。お前自身、もっと凄惨な何かを見たか⋯⋯されたはずだ。言えなかった事がまだ何かあるだろう? 心が揺らいでいる」

 冨岡の言葉を聞き、火憐は彼の胸に顔をすり寄せ、ガクガク震えた。まるで酸素が足りていないかの様に、何度も口を開閉させている。

「火憐さん、ゆっくりで大丈夫」

 胡蝶が手を握った。彼女も同じ様に夢を見て暴れ、何度も姉に宥められた事がある。

 火憐は大粒の涙を溢しながら、冨岡にしがみ付く腕に力を入れた。

「童磨⋯⋯部屋の壺に⋯⋯女性の生首を生けていて⋯⋯。私が倒れている間に⋯⋯別の女性を呼んで⋯⋯二回で壊れたからと⋯⋯目の前で食べた⋯⋯。私が辛ければ、その分助けを呼ぶから、心配するなと⋯⋯。血塗れの手で私を抱いて⋯⋯私が叫べば、叫ぶだけ、目の前で他の女性を抱く⋯⋯と⋯⋯。だから⋯⋯気を失うことも出来なくて⋯⋯あれ以来ずっとバラされた女性と、童磨の影が私から離れない!! あの女性は、私のせいで殺されてしまった!! 怖い⋯⋯。夜が怖くて⋯⋯また呼び出されるんじゃないかと⋯⋯。私⋯⋯」
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