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【鬼滅の刃】継ぐ子の役割

第54章 仮初の光


「部屋を用意してあります。こちらへ」

 あまねは素早く動いて冨岡と火憐を案内した。他の子供達は、産屋敷を暖かい寝所へ連れ戻した。

 残された柱達はお互いの顔を見て、溜息を吐いた。柱合会議以外で、これだけの人数が集まるのは異例だ。

「宇髄さん、出歩いて大丈夫ですか?」

 胡蝶が問うと、宇髄は豪快に笑って見せた。

「これしきの怪我、なんてことねえよ! それよりも火憐だ。あいつが負傷していたなんて知らなかったぜ。良くあれだけ動けたもんだ」

「しかも、先刻鬼に与しようとした弟子に首を刺されたと聞いたが」

 悲鳴嶼は、涙を流しながら口を開いた。珍しく、甘露時が怒った口調で説明する。

「裏切り者を洗い出す為に、柱や産屋敷家と近かった宇那手ちゃんに、弟子を集めさせたんですって!! あの子⋯⋯自分の弟子に刺されて殺されそうになったの!! 幾ら何でも酷過ぎます!!」

「はあ?! あいつなら、避けられただろう?!」

「わざと避けなかったんです」

 胡蝶が、悲痛な面持ちで宇髄に答えた。

「あの弟子は、感情を拗らせていました。火憐さんの為に強くなりたいと思い⋯⋯だけど、どうやっても彼女を追い抜くことが出来ないとも分かってしまった。だから、鬼に揺さぶられたんです。結局鬼に与しなければ、鬼舞辻から逃げ切れないと思ったらしく、自害しましたが、火憐さんは、その事を気に掛けていらっしゃって⋯⋯。独りで死なせるのは可愛そうだと⋯⋯」

「お人好しにも程がある」

 宇髄は腹立たしげに溢した。

「そりゃあ、冨岡がお館様に腹を立ててもしかたねえ。嗚呼、あいつが嫁候補にいりゃなあ。もう刀なんて握らせねえ⋯⋯」
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