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【鬼滅の刃】継ぐ子の役割

第53章 真の目的


「分かりました。これからも、よろしくお願いします。⋯⋯冨岡さん」

 火憐は、怒りに震えている男に歩み寄り、胸に寄り掛かった。

「羽織を⋯⋯大切な羽織を汚してしまい、申し訳ございません。必ず綺麗に戻します」

「そんな事はどうでも良い! お前の身体の方が大事だ!! 屋敷に戻るぞ」

「そうですね。まだ仕事がありますし」

 火憐が応えると、ひなきとにちかが近付いて来た。彼女らが、産屋敷の側を離れることは滅多にない。

「火憐様、冨岡様。お手紙を預かっております」

 二人は其々に文を差し出した。

「ありがとう」

 火憐は優しく答えて、全て受け取った。

 一通目は、不死川からで、なんとも斬新な内容だった。半紙いっぱいに、たった一言が書かれている。

 ──馬鹿野郎がァ!!

 火憐は、思わず吹き出してしまった。わざわざ送って来た辺り、本気で心配をしてくれているのだろう。

 横目に冨岡の文を盗み見ると、そちらもやはり一言だけ。

 ──ぶっ殺すぞ!

 二通目は伊黒からだった。此方は、紙にびっしりと細かい字が書き込まれている。

 ──お前は一体何を考えている? 上弦の十二鬼月を相手に、傷一つ負わずに生還できる柱が他にいるか? 死にたければ、先に代わりを探して来い。出来ないのなら二度とふざけた真似をするな。お前がやるべき事は、大きく二つだ。鬼舞辻無惨を殺すこと。生き残ること。鬼の子供を孕むだと? そんなことは、戦う能の無い奴に任せれば良い。お前の役割は⋯⋯以下略

 冨岡の持っている文にも、呪詛の様な言葉が延々と書かれていた。火憐は重い気持ちで三通目を開いた。
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