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【鬼滅の刃】継ぐ子の役割

第53章 真の目的


「お話を聞く限り⋯⋯耀哉様が、鬼に与する隊士を炙り出す為に、柱に近い火憐様に人を集めさせた、ということでしょうか?」

 あまねは震える声で訊ねた。全員が視線を逸らし、無言で肯定した。

「嗚呼⋯⋯嗚呼! なんてことでしょう!」

 膝から崩れ落ちた彼女を他所に、集まって来た隠が甘露時から事情を聞き、佐伯を運び出した。

 火憐は、這う様にあまねに近付き、血のついていない右手で彼女の肩に手を置いた。

「私が主導したのです。化け物に勝つ為には、化け物をも凌駕する手段を取る必要がある、と。お優しいお館様は、強く反対されました。私が押し切ったのです。化け物は私です」

「貴女は、またその様なことを!!」

「⋯⋯っ」

 火憐は、あまねの脇をすり抜ける様に倒れてしまった。

「⋯⋯毒の分解が追いついていない。やはり、胡蝶さんを呼んでください。私をこの場から動かさないで。ある程度日光で分解します。甘露時さん、鴉を飛ばして。あまね様は、お館様の元へ戻ってください。何も無かったとお伝えください。冨岡さんは、私の薬袋を持って来て⋯⋯。他の皆は──」

 火憐は、残った弟子たちを見回した。全員から不安と、心配の気配がする。もう誰一人、疑う必要は無い。

「側にいてください。私が気を失いそうになったら、日輪刀で左腕を刺してください」

 冨岡も甘露時も、迷わず動いた。弟子たちは火憐を横向きに寝かせ、気道の確保をした。

「なんだ、この猫!!」

 村田は、火憐の血の周りを徘徊している茶々丸を気味悪そうに睨んだ。

「⋯⋯そうか。忘れていました」

 火憐は注射器を取り出し、自分の血液を採取すると、村田に差し出した。

「猫の背負い袋に入れてください」

「あ⋯⋯ああ」

 村田は指示に従った。血を受け取るなり、茶々丸は塀を飛び越えて姿を眩ましてしまった。
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