第49章 医術※
「謝らなくて良い。誰よりも傷付いているお前を、責めるつもりは無い。俺の元に戻ってくれば、それで良い。生きるために、避けられなかったのだろう?」
「⋯⋯はい。今回は、どうやっても逃れられませんでした。本当に申し訳──」
「謝罪は禁ずる」
冨岡は火憐の口を手で塞いだ。彼はあやす様に火憐の全身を揺さぶり、撫でた。
「宇那手、こっちを向いてくれ。唇を重ねたい。心は俺の物だと確認したい」
「はい」
火憐は大人しく振り返り、冨岡の顔を見詰めた。時折彼の表情を寂しく感じる事もあるのだが、今はホッとした。どんな時でも、水面の様に静かで、自分を安心させてくれる。彼が冷静な分、火憐の瞳からは、涙が溢れる。
「冨岡さん、私、貴方が好きなんです。好きで、好きで、どうしようもなくて、貴方の為ならなんでもしたいと思ってしまうんです! 私の身体でも、命でも差し出して、貴方に生きていて欲しいと思って⋯⋯それで⋯⋯」
「本当に俺を好いているなら、二度と身体も命も投げ出すな」
冨岡は火憐の顔を包み込み、唇を重ねた。彼は中々解放しなかった。何度も角度を変えて唇を啄み、遂には舌を絡めた。たったそれだけの行為なのに、火憐の鼓動は早まり、体温が上がった。
「⋯⋯冨岡さんっ⋯⋯もう止めて!」
「このまま挿れる」
「え?! ええ?! 待って!!」
「湯船の中だ。溢すなよ」
冨岡は火憐の言葉を無視して、彼女の腰を掴んで持ち上げると、一気に奥まで貫いた。
「うっ⋯⋯苦し⋯⋯」
「宇那手、俺も同じだ。お前と同じ様に、お前を守るためなら、命を差し出しても良い。だから⋯⋯守れぬ程、手の届かぬ場所へ行くな」
「はい⋯⋯っ⋯⋯駄目! 熱くて⋯⋯苦しいっ!!」
「宇那手!!」
冨岡は、火憐の頭を抱き抱えて達してしまった。折角綺麗にした彼女の中に、欲望を放ってしまった。昨晩出したばかりだと言うのに、まるで尽きる事が無かった。一度で良いから、満足が行くまで、何度も何度も抱いて、いっそのこと、心を手折り、二度と戦えない様にしてしまいたかった。例え鬼畜と呼ばれても。