第47章 上弦集結
「凄いね、君!! 確かに俺とそう変わらないんじゃないかな? しかも呼吸も乱れていないし、まだまだ技があるんだよね?!」
「技の威力が落ちなかったのは、最近隊士の稽古をつける準備として、左手で刀を振るう鍛錬をしていたからです」
火憐は、鬼舞辻に向かって言い放った。
「すみませんが、次に襲撃予定の場所を教えていただけませんか?」
「⋯⋯刀鍛冶の里だ。しかし、位置の把握が出来ない」
鬼舞辻は不機嫌に答えた。
「では、お礼に情報を。刀鍛冶の里は、柱であっても、場所を知らされていません。隠が一定の区間を担いで運び、次の隠へ引き渡す。隠は鴉の案内を受けて里まで向かいます。その隠も、鴉も頻繁に入れ替えられる」
火憐の言葉に鬼舞辻は、怒りを露わにした。
「それが有益だと?!」
「芍薬を倍に増やした方が良いですね。⋯⋯竈門炭次郎が刀を刃こぼれさせ、担当の鍛治職人は、もう刀を打たないと言った様です。おそらく、炭次郎は目覚め次第、刀鍛冶の里へ直談判しに向かうでしょう。彼の気配を追った方が早いです。猗窩座さんは、炭次郎の気配を覚えていますよね?」
「分かった。それで良しとしよう」
鬼舞辻は納得した様子で頷いた。琵琶の音が鳴り響くと、上弦の鬼と火憐は、再び同じ空間に集められた。
「私は上弦と言う理由で、お前たちを甘やかし過ぎた様だ」
(いや、知らねえよ)
火憐は心の奥底でボヤいた。自分まで鬼の頭数として数えられるのは、甚だ不本意だ。
鬼舞辻は、何も気付くことなく続ける。
「玉壺、お前は私に何か伝えようとしていた様だが、まだ確定していない情報を嬉々として伝えようとするな。その情報については、確定し次第、宇那手が即座に伝えてくれる。その娘は、鬼殺隊の内部におり、産屋敷の信頼も厚い。遥かに正確な情報をもたらす。情報が確定し次第、半天狗と向かえ」
彼の指示は、火憐の、上弦の鬼に対する評価を受けての物だった。任務に火憐が送られれば、片方では確実に首を切られる。