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【鬼滅の刃】継ぐ子の役割

第46章 弟子


 彼女は、鋼鐵塚に歩み寄った。が、鋼鐵塚は彼女の横を素通りし、真っ直ぐ浅井に向かって駆け出した。

「貴様ぁぁぁぁ!!! 俺の刀を折ったなぁぁぁぁ!!!」

(あー⋯⋯浅井さんの刀⋯⋯)

 火憐が額に手を当てていると、肩に鴉が留まった。彼女は短い伝言を聞き、頷いた。

「分かった。お館様にお伝えして」

 鴉は火憐の首をツンツン突いてから、飛び去った。

「鋼鐵塚さん、待って!! ただ怒っても、その方は、状況が分かっていませんから!!」

 火憐は慌てて間に入り、隊士達を集めた。

「刀が折れた理由を教えます。先ずは、皆さん、私の刀を持ってみてください」

 火憐は、女性隊士に、自身の刀を手渡した。それは、手から手へと回され、最後に浅井が握った。

「軽い!」

「はい。私は身長百五十三センチ。体重四十キロと非常に小柄です。故に、刀を軽くしていただきました。当然、強度も下がっています。では、何故皆さんの刀が折れたのか。佐伯さん、刀を構えてください」

 彼は不機嫌そうな表情で、素直に従った。火憐は自分の刀を、佐伯の刀の刀身に押し付けた。

「構えているだけの佐伯さんの刀と、私の刀。どちらに力が加わっていると思いますか?」

「火憐さんの刀です。⋯⋯そうか」

 村田は得心が行った様子で頷いた。火憐は微笑んだ。

「私は、お二人の技を受け止める際、僅かに力を抜いたのです。勿論力加減を誤れば怪我を負いますが。それ故に、私の刀に、お二人の刀が力を加えた形になりました。つまり──」

「やっぱりお前のせいじゃねえか!!!!」

 鋼鐵塚は包丁をぶんぶん振り回し、浅井を追いかけ回した。

「まあ、丁度良いですね。全員このまま後三時間程走り込みをしてください」

「たった三時間で良いんですか?!」

 村田の悲壮な表情は、鱗滝の修行がどれだけ厳しい物であったかを語っていた。火憐は満面の笑みを浮かべた。

「本題はその後。全集中常中の訓練です。二組に分かれて行っていただきます。⋯⋯そうですね⋯⋯女性と村田さんの組、男性の組に分けましょう」

「なんで俺は女性と?!」
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