第46章 弟子
「い⋯⋯良い加減にしてください!」
隠が恐る恐る口を挟んだ。
「この方は柱なのですよ!! 口を謹んでください!!」
「構いませんよ。炭次郎には、良く言って聞かせますので。ところで、わざわざ来てくださったと言う事は、やはり新しい刀を?」
火憐はうきうきと鋼鐵塚の包みに目をやった。彼は思い出したかの様に、徹夜で仕上げた得物を取り出した。
「前回の物よりは強度が上がっている筈だ。鋼の種類を一部変えてみた」
「ありがとうございます」
火憐は、早速抜き、柄を強く握りしめた。刀身は鮮やかな紫色に染まった。
「これが、鉄穴森の言っていた色変わり⋯⋯。何て美しい!!」
「多分、戦いの事も聞いていますよね? これから稽古を付ける所だったのですが、見て行かれます?」
火憐の申し出に、鋼鐵塚は深々と頭を下げた。
「是非とも」
「では、危ないので、縁側まで下がってくださいね。近藤さんも、良ければどうぞ」
火憐の配慮に近藤も深く頭を下げて縁側に引き下がった。
「以前と同じ様に、私を囲んでください。今回は戦闘不能になるまで戦います。全員私を殺すつもりで戦う様に。では」
火憐は刀を構えた。
(水炎の呼吸、拾弐ノ型、流炎舞、反転)
隊士達は、全員異なる動きをした。女性三人は固まって刀を振るい、威力は弱いながらも、何とか致命的な斬撃を振り払った。
村田、浅井、佐伯は、それぞれ自分の技で身を守り、他の二人は一人が凪を使用し、もう一人を庇った。
そして全員が火憐の間合いに飛び込んだ。
「素晴らしい!」
(弐ノ型、改、横水車)
火憐は全員の斬撃を一気に高威力の技で払い、攻勢に転じた。
(肆ノ型 打ち潮)
まず、女性陣が倒れた。全員急所に浅井切り傷を負い、刀を取り落として膝を着いた。それでも、気絶しないだけ、以前よりも強くなっている。