第44章 懲罰
「嘘! 嘘!! 違うんです!! 貴方を傷付けるつもりなんてなかった!! ずっと側にいたい!! 叶うことなら、鬼のいない世界で、貴方と出会いたかったんです!!」
火憐は、冨岡の首にしがみついて訴えた。
「絶対、絶対離れません!! 貴方が甘やかしてくれるなら、私、頑張ります!! ごめんなさい⋯⋯。お願いします!! 私を傍に置いてください!!」
「お前がそう願うなら、死ぬまで傍にいる。柱では無く、ただの娘として。愛している。いくら愛でても足りない。心が餓えている。もっとお前と繋がりたい。触れ合いたい」
そういうと、冨岡は再度腰を動かし始めた。今度はとても穏やかな物で、緩やかに火憐の快楽を引き出した。
「宇那手、俺は全てが終わったら、正式にお前と結婚したい。お前の⋯⋯その⋯⋯子供が欲しい。だから、想いは全て吐き出せ。気持ちを楽しにて、早く身体を元に戻せ。でなければ、俺は罪悪感でいっぱいだ。お前を欲求を満たす道具の様に扱っている、と」
「義勇さんは⋯⋯っあ⋯⋯本当に私を⋯⋯愛してっ⋯⋯嬉しい!! 私も貴方より、ずっと愛しています」
火憐は、束の間の幸せを噛みしめた。幸せは、そう長く続かないと、分かっている。そもそも自分は長生き出来るかも分からない。それでも、小さな幸せの積み重ねが、人生の最後を明るい言葉で締め括るための原動力となる。
「義勇さん⋯⋯イキそうっ⋯⋯。お願い! 口を塞いで!」
「分かった」
冨岡は、口付けをした。あらん限りの愛情を込めて。何度か奥に自身を打ち付け、欲を放った瞬間に、火憐は鼻から声を漏らし、達してしまった。そして、一瞬微笑み、眠りの淵へと落ちて行った。
冨岡は自身を引き抜き、改めて火憐の様子を観察した。ベッドの上は凄惨そのものだった。
良く見ると、火憐はかなり血色が悪く、左腕の出血でシーツは赤く染まり、体液がぐっしょりと染みを作っていた。このまま寝かせてしまえば、風邪を引く。
冨岡は汚れきったシーツで彼女の身体を拭き、肩の辺りを帯紐できつく縛って止血をすると、自分のベッドに移した。