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【鬼滅の刃】継ぐ子の役割

第44章 懲罰


「明日、伺います」

 火憐は即答し、手元を見詰めた。

「今のところ、輝利哉様には呪いの影響が見受けられません。恐らくお館様が落命された直後から、あの子の体を蝕み始めるはず。それを食い止めなければ。どんな病も、軽症の内に手当てをすれば、回復する可能性があります。私が考えているのは、お館様の身体に呪いを封じ込める方法です。そうする事により、あの方の身体は、命が尽きた時に鬼の様に崩れてしまうかもしれない。でも、想いは不滅です。私たちが引き継いで行けば、無に帰す事はありません」

「その辺りの事は、私も考えてみましょう。鬼の医者についての話も伺いましたし、協力を了承しました。とにかく貴女も休まないと。貴女を死なせたら、私も腹を切らねばなりませんから」

 胡蝶は火憐を押し倒した。

「薬は不死川さんに届けていただきます。冨岡さんは、火憐さんの側にいてください」

「分かった」

 冨岡は火憐のベッドに腰掛けた。胡蝶はそんな彼に釘を刺した。

「騒がないでくださいね。⋯⋯行きましょう、不死川さん」

 彼女は不死川の手首を掴んで部屋の外へ出た。

「心配をお掛けして、申し訳御座いません」

「何を言うかと思ったら」

 冨岡は火憐の額に手を置いた。相変わらず体温が高い。

「戦いについては、何も心配していなかった。俺が不安になるのは、お前が何をしているのか分からない時だけだ。伊黒が珍しく俺に話し掛けて来て、長時間拘束された。足止めをされている事は分かった。今回は何をされた?」

「血を飲まれただけですよ」

「本当か?」

「全身調べても構いませんよ」

「では、そうさせて貰う」

 冨岡は、火憐の羽織を脱がせ、隊服を取り払うと、改めて包帯を巻かれた左腕に視線を向けた。しばらく見詰めてから、下も脱がせて全身を良く観察した。

「本当にこれしか怪我を負わなかったのか?! 宇髄ですら、左手を失い、左目を失明していた。他の隊士も大怪我を負って戻って来たぞ」
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