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【鬼滅の刃】継ぐ子の役割

第43章 再来


「冨岡さん、気持ちは分かりますが、その言葉は今じゃありません」

 胡蝶はニコニコ言葉を紡いだ。

「火憐さんは、そんなことを言わなくても分かっています。まず、彼女の勇気を称賛すべきでしょう。改めて、お帰りなさい、火憐さん」

「ただいま⋯⋯です」

 火憐は、ようやく気を緩める事が出来、ポロポロと泣いた。普通の女の子の様に。

 自分に、そんな行動が許されるか、分からなかった。しかし、どうしても涙を止められなかった。

「う⋯⋯うわぁぁぁん!! 怖かった!! 鬼舞辻に殺されるかと思ったよ⋯⋯! 童磨に会うのも、怖くて⋯⋯怖くて⋯⋯いっそ戦って死んだ方がマシだって、思ってしまいました!! 駄目な柱でごめんなさい!!! 弱くて⋯⋯ごめんなさい⋯⋯!! 勝手なことばかりして、心配を掛けて⋯⋯私⋯⋯私⋯⋯」

「悪かった。守ってやれなくて、すまない」

 冨岡は火憐を抱き寄せたが、彼女は益々激しく泣きじゃくった。

「私⋯⋯仲間を足手纏いだなんて! 違う! 言葉が違う! 怖かった!! 皆死んでしまったと思って! また私だけが生き残ってしまったと⋯⋯。私⋯⋯きっと沢山の人に恨まれているからっ!」

「火憐さん、鎮静剤を出しますから、今日はもう眠ってください」

 胡蝶は薬品棚まで歩いて行き、錠剤の入った瓶を取り出した。

「柱なのに!! ごめん⋯⋯ごめんなさい!! 私⋯⋯こんなに取り乱して⋯⋯! なんで涙が出るのよ!!」

「火憐さん、薬を」

 胡蝶は苦しげな表情で、錠剤と湯飲みを渡した。火憐は大人しく服薬したが、しばらく子供の様にぐずっていた。

 冨岡はともかく、不死川は衝撃を受けて動けなくなってしまった。火憐は大人びていて、笑顔で、感情の揺らぎがない存在だと思っていたから。

「私、煉獄さんの代わりになんてなれなかった!! あの子達を足手纏いだなんて!!」

「それを竈門君達に言ったのですか?」

 胡蝶が問うと、火憐は首を横に振った。

「言ってません!! だけど⋯⋯どう導いて良いのか分からなかった!! 守ることしか出来なかった!! 教えて⋯⋯導くことなんて⋯⋯出来なくて⋯⋯」
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