第43章 再来
冨岡はそれが面白く無かった。
「不死川、お前は何時宇那手と親しくなった? 何時名前を呼ぶ許可を得た」
「テメェ、何を言うかと思ったら⋯⋯」
「ああ! 私も気になっていたんですけれど!」
火憐は、パチンと手を合わせた。
「胡蝶様と、冨岡さんは、特別親しいのでしょうか? 良く一緒にいらっしゃいますし」
「火憐さんがいらっしゃる前は、二人で任務に当たる事が多かったのですよ。冨岡さんは、他の柱と上手くやれないみたいですので。だから、確かに親しいのですが、伴侶にするのは御免です」
胡蝶はバッサリと切り捨てた。冨岡は、人知れず落ち込んでいた。
「やっぱり、胡蝶様の方が、冨岡さんとお似合いですよね⋯⋯。私は柱になって日が浅く、冨岡さんに心配ばかり掛けています。冨岡さんは優しいですから、もっと安全で確実な橋を渡る方の方がお似合いです」
火憐は、女としての劣等感から、腹いせに不死川の手を握った。
「私も柱になったわけですし、対等な存在として、お名前を呼んでも良いですか?」
「あ⋯⋯ああ、構わないぜ」
「実弥さん、心配してくださってありがとうございます。私は大丈夫ですよキチンと計算して行動していますから」
「俺だけじゃネェ。伊黒もお前の事を心配していた。悲鳴嶼さんも、だ。後で詫びとけ!」
「はい。心配をお掛けしました」
「叩いて悪かったなァ。俺はもう戻る。明日からの最終選別で、時透と一緒に救護をする事になった」
「あ! 藤原は?! 彼女はどうなりました?! 祐司君も!!」
火憐が冨岡に顔を向けると、彼は冷ややかな声色で答えた。
「二人共鱗滝様の修行を終えた。他の隊士も、全員産屋敷邸にいる。皆お前を待っていた。それなのに──」