第43章 再来
「すみません。この子達を引き取ります。亡くなった妹に良く似ていて⋯⋯。童磨様にもご納得いただけるはずですから、火憐宇那手が連れ出したとお伝えください」
彼女は二人の娘を抱え上げ、建物を後にした。
「お姉さんは誰?」
「鬼狩りです。童磨の様な鬼は他にも存在して、その様な存在から人間を守る仕事をしています」
「鬼?! じゃあ、残された人は?! 食べられちゃうの?!」
「あの鬼は偏食なので、当面問題無いはずです。年寄りや男は喰いませんし、今は若い女を必要としているので。すみませんが、ちょっと寄り道をします」
火憐は、不死川の情報を元に、山の麓の荒屋に足を運んだ。
「貴女たちは、ここにいてくださいね。これを持っていて」
彼女は念のため、甲の時代に打ってもらった刀を預けて、屋内に踏み込んだ。
案の定、白骨化した遺体が、折り重なる様に倒れていた。骨格からして、一人は老人で、もう一人は成人した男だ。童磨が殺したのだろう。
(猪之助君の事をありがとう)
火憐は手を合わせ、外へ出た。子供たちに骨を見せたく無かったし、長時間二人きりにはしたくなかったのだ。
「ごめんね、お待たせ」
彼女は刀を取り戻すと、二人を小脇に抱えた。
「少し走るわ。怖ければ目を瞑っていてね」
火憐は、呼吸を使い、全速力で街まで降りた。そして、蝶屋敷へ戻り、入り口の戸を叩いた。
すぐに胡蝶が現れ、火憐に飛びついた。
「火憐さん!! 良くご無事で!!」
「すみません。皆さんにご心配をお掛けしましたね。この子達を引き取っていただけますか? 童磨の元から救出して来ました」
「何を考えて──」