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【鬼滅の刃】継ぐ子の役割

第43章 再来


「⋯⋯あれ、君の記憶の中にいるこの男は誰? ああ、柱か。君の心を縛っているのは、この男なんだね。殺してあげれば、君は解放──」

 童磨は衝撃に目を見開いた。気配を察知する事すら出来なかったが、自分の首が皮一枚繋がった状態で胴体にぶら下っていたのだ。

「許さない。その人が死ぬのは、私が死んでからよ。でも、確かに、私が死ねば、その人は解放される。捨身で戦える。持っている以上の力を発揮出来る。だけど私は死なない」

「酷いなあ! 部屋が汚れちゃったじゃないか」

 童磨は首を元に戻し、笑みを深めた。

「君は、なんの技も使わずに、ここまで早く動けるなんて、これまでの柱の中でも一番優秀なんじゃないかな。あの方が食べたがるのも分かるよ」

「私は貴方を決して許さない。この身体を弄んだ事も、愛する人の死を口にした事も。何時か必ず、死んで詫びて貰う」

 火憐は、刀から血を振り払い、鞘に収めた。

「私の戦法について、無惨様に聞きました? 私は三つの呼吸を使用でき、全て極めています。加えて日の呼吸の動きも昨日覚えました。三十三個の技と、新しい二個の技。貴方が対応出来るか見物です。それから、血の記憶を見て分かったでしょう。貴方は助けたつもりでも、妓夫太郎は妹を鬼にした事を後悔していた。彼らの為にも、戦います。さようなら、童磨」

 彼女は止血もしないまま、部屋を後にした。童磨が追って来ないのは、鬼舞辻のお陰だろう。

 火憐は、部屋の隅で縮こまっている、幼い姉妹に目を向けた。他の信者達とは違い、火憐の腕を見て震え上がっていた。

「貴女達は孤児ですか?」

「そう⋯⋯。他所へ行けない⋯⋯」

 火憐は少し考えてから、二人を抱き寄せた。

「貴女達は何かを見たのですね? そして、今日までそれを隠していた。だけど、童磨は貴女達の異変に気が付いたでしょう。恐らく今晩殺されます」

「人を⋯⋯人を食べていたの!! 女の人を⋯⋯」

「私と共に外へ出ましょう。あの鬼は、私を殺せませんから」

 火憐は周囲を見渡し、自分を案内してくれた女性に笑みを向けた。
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