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【鬼滅の刃】継ぐ子の役割

第43章 再来


 火憐が、万世極楽の総本山にたどり着いたのは、再び夜が更けた頃だった。かなり小規模の宗教団体らしく、世の中から爪弾きにされた者たちが、身を寄せ合って暮らしているという。

 不死川が、場所を突き止めてくれた。

 火憐が門を叩くと、信者の女性が姿を現した。

「はて? 以前お見掛けしましたかな?」

「童磨様にお話があって来ました。入っても良いですか?」

「ええ、ええ。どの様な方でも歓迎ですよ」

 彼女は火憐を中へ迎え入れてくれた。信者の中には子供を抱えた女性も多く、それなりに幸せそうに過ごしていた。

「あれ? 君はあの時の」

 童磨は、火憐の姿を捉えると、見せ掛けは嬉しそうに笑みを浮かべた。

「こんばんは。少しお話がしたくなりました。大方予想は付いているでしょうが」

「うん、うん。僕の部屋に来ると良いよ」

「最初に申し上げておきますが、私は死ぬのも、喰われるのも嫌です。貴方は人を救うことを目的としているのですよね? 私にとっての救いは、真実を聞くことのみ」

「はは。怖がらなくても良いよ。あの方が宇那手ちゃんを抹殺対象から外しているからね。早くおいで」

 童磨に導かれ、火憐は、嫌な記憶の残る部屋へと足を踏み入れた。

「君、凄いね。傷一つ負わずに上弦の鬼を倒すなんて」

「堕姫様を鬼にしたのは、貴方ですね? 何があったのかお聞かせください」

 火憐は、単刀直入に切り出した。すると、童磨は悲しげな表情を作った。

「あの子はね、乱暴を働こうとした侍の目を簪で突いて、生きたまま火に焼かれたんだよ。酷いと思わないかい? 人間は、誰もあの子達を救ってはあげなかった。だから、僕が助けてあげたんだ」

「⋯⋯そう。だからあの子は⋯⋯」

 火憐は、堕姫が自分を庇ってくれた理由を理解した。童磨は共感を見せ、火憐を抱きしめた。

「なんて優しい子だろう。鬼のために泣いてくれるなんて」

「感情が無いことは分かっています。私の前では、演技は不要です」

「酷いなあ。ちゃんと心が動いているよ。何故だろう。君に触れていると心臓の動きが乱れるんだ。何て言えば良いんだろ?」
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