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【鬼滅の刃】継ぐ子の役割

第41章 遊郭潜入


 彼女は鬼舞辻の顔を両手で包んだ。

「このお姿が、本来の貴方なのでしょうか?」

「だからなんだという」

「この姿が一番美しいです。ありのままの姿が、一番優しい表情で、綺麗です」

 宇那手は袖に手を入れ、薬を取り出した。

「ほんの少しの時間ですが、日光の元を歩ける様になるはず。毒だと疑う様でしたら、他の鬼で試してください」

 鬼舞辻はそれを受け取り、目を細めた。宇那手は鏡台へ向かい、綴じ本を開いた。

「産屋敷の体調が優れない為、此処数ヶ月、薬学を学びました。貴方の体と、産屋敷の身体は、非常に近い状態にあるのです。鬼になったとしても、身体の元の部分は人間のままのはず。その薬は、ほんの数分ですが、鬼の性質を抑える事が出来ます。鬼の血や、細胞を殺す物では無く、蓋をすると捉えてください。此処に調合法を記しました」

 彼女は頁を破り取り、鬼舞辻に渡した。

「彼岸花を使用しました」

 鬼舞辻は走り書きに目を通し、溜息を吐いた。これまで千年、日光を克服する為にありとあらゆる研究を続けて来たが、宇那手は、数ヶ月で誰もなし得なかった事をしてみせた。

「ただ、常用する事はおすすめ出来ません」

 宇那手は、人間の医者が患者に接する様に、真剣な表情で説いた。

「どうしても日中に外出が必要な、非常時に用いてください。この薬が効いている間は、鬼としての性質を失います。怪我を負えば、暗がりに戻って、元の体質を取り戻すまで、治すことが出来ませんから」

「一つ聞いておきたい。童磨が、お前を稀血だと言っていた。しかし、匂いがしない。何故だ?」

「ええ?! 私が?!」

 宇那手は素で驚いた。これまで一度もそんな事は言われなかったし、血を理由に襲われた事も無い。

「恐らく、生まれ付き無臭なのか、童磨が思い込んでいるかのどちらかです」
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