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【鬼滅の刃】継ぐ子の役割

第40章 前夜


 貸し与えられた部屋に戻ると、冨岡が起きて待っていた。宇那手の残した記録を読んでいた。

「先にお休みになっていて、良かったのに」

「待ちたかった」

 冨岡は本を机の上に置いた。宇那手も琴を壁に立て掛けると、簪を抜いて、羽織を脱いだ。

「明日、出ます。少し時間の掛かる任務ですので、皆をよろしくお願いします」

「何度も言うが、俺は反対だ」

 冨岡は頑なに否定した。

「遊女として潜入するなど、断じて認められん」

「でも、他の隊士には任せられません。大丈夫です。炭次郎様の同期の内、誰かと一緒に行動することになりますから」

「お前の年齢なら、すぐに水揚げされる」

 冨岡は、布団に入ろうとした宇那手の腕を掴んだ。

「絶対に、その前に抜け出せ」

「水揚げの必要が無いと言うつもりです。そして、客を取らずに時間を稼ぎます。長くても数日ですよ」

「⋯⋯絶対に生きて戻れ」

 冨岡は宇那手の腰に腕を回して抱き付いた。彼女は芸事の稽古や、産屋敷の世話をしており、ここ最近は冨岡の為に時間を割いてはくれなかった。

「今日は、師範の布団に入っても良いですか?」

 宇那手は、返事を待たずに、冨岡の腕に縋り付いた。冨岡は、黙って彼女の背に手を回した。

 幸か不幸か、宇那手は冨岡の大抵の行為は許してくれる。と言うよりも、彼女はある種の被虐性欲を抱えており、それが童磨のせいだと思うと、冨岡は複雑な心境になった。

「義勇さん、実は少し困った事があって」

 宇那手は、小声で囁いた。

「隊服の採寸をしたのは、最終選別の後、一回きりです。成長期は過ぎていたので、身長は伸びていないのですが⋯⋯その⋯⋯最近胸がキツくて」

「俺に言うな。鴉を送れ」

「多分、貴方のせいなんです。貴方が良く触るから」

「それなら、今日は胸には触れない」

 冨岡は、座った状態で宇那手を背後から抱き、すぐに浴衣の裾をはだけさせた。すらりと伸びた足に触れただけで、宇那手はビクリと反応した。此処まで過敏だと、誰に触れられても同じなのでは無いかと、冨岡は不安な気持ちになった。
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