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【鬼滅の刃】継ぐ子の役割

第39章 悲鳴嶼行冥


 彼は自分自身への嫌悪よりも、胸を突き刺す様な悲しみに襲われて動けなかった。

 もし、宇那手が、鬼のいない世界に生まれていたら、もっと多くの人間に愛されて、誰よりも幸せを手にしていただろう。刀よりも、抱え切れないほどの花束を手に、光の中を歩いていたはずだ。

「宇那手」

 伊黒がようやく駆け出し、中庭に戻った時に、宇那手の姿はもう無かった。ただ、穏やかな風が通り過ぎて行った。

「⋯⋯認める」

 彼は、誰にも届かない言葉を呟いた。彼にとって、最も称賛に近い言葉だ。返事は無かった。
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