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【鬼滅の刃】継ぐ子の役割

第38章 継承


「善逸、何が分かる──」

「聞かないでくれよ!! 答えたく無いんだ!!」

 善逸は、炭次郎に怒鳴り返していた。

「なんで分からないんだよ!! ⋯⋯柱が、そう簡単に戦意喪失なんてしないって、お前なら分かるだろう?! 大怪我程度で挫けるくらいなら、他の人達も庇ったりしない!!」

 唯一、状況を察していた善逸はガタガタ震え出していた。冨岡は炭次郎から手を離し、宇那手の元へ向かった。

「少なくとも、上弦の十二鬼月を一匹殺せ。そうでなければ、幾らお前の能力が高くとも、下の者達が納得しない。必ず殺せ」

「はい⋯⋯」

「不死川、手を離せ」

 冨岡は不機嫌に傷だらけの腕を掴んだ。

「わりィ」

 不死川は手を離した後、何故か宇那手の頭を撫でた。そして、自分の行為に赤面した。

「お二人共、ありがとう」

 宇那手は、冨岡と不死川の両方を一瞬抱き寄せ、庭に飛び出した。二人が気付いた時には、既に宇那手が刀を抜いていた。

「火憐!」

 冨岡が厳しく制したが、彼女は少し微笑んだだけだった。

「竈門炭次郎様。水の呼吸の使い手として、勝負を挑みます。怪我の調子はどうですか?」

「動けます!」

「では、相応に手加減をしましょう。他の三人も纏めて掛かって来なさい!!」

 宇那手は、炭次郎に見習いの打った刀を投げ、例の如く三人から間合いを取った。

「炎の呼吸、拾弍ノ型」

「なんだって?!」

 宇髄は驚愕の余り、口を閉じられなくなった。水柱の継子が炎の呼吸を使用している事自体信じられない事なのだが、彼女は独自の型を生み出していたのだ。

「灼熱、反転」

 それは、水の呼吸拾弍ノ型を、炎の性質に変えた物だった。間合いの外にいる者を、燃え盛る斬撃が切り刻む。

 柱である、不死川、冨岡、宇髄も自衛の為に刀を抜かざるを得なかった。
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