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【鬼滅の刃】継ぐ子の役割

第38章 継承


「何があったんですか?」

 炭次郎は、恐れ慄きながら質問した。彼の知っている宇那手は、強気で、飄々としている、掴み所の無い、優しい女性だった。

「一昨日、何があったんですか? 手紙で鬼舞辻と取引をして、それから、童磨と会ったって──」

「やめろ」

 堪らず飛び出したのは、不死川だった。彼は宇那手に歩み寄り、髪を引っ張って顔を上げさせた。

「柱のやる事じゃねェ。コイツらに余計な事を言う必要も無い。ただ、上弦の弍を殺せと言えば良い」

「⋯⋯代理を頼む以上、ある程度の事は話す必要があります」

 宇那手は、震える手で不死川の腕を掴んだまま言葉を続けた。

「私は柱の中でも、特に精神力が強いのです。筋力の弱さを、精神力や頭脳で補っています。関節を外されようが、骨を折られようが、体の一部をもがれようが、戦闘中に意識を失う事が出来ないのです。それ故に、私は発狂し、鬼になり、隊士を傷付けてしまう可能性がある。だから、殺して喰う事だけが目的では無い童磨と戦えないのです」

「何をされたんですか?」

 炭次郎が訊ねた瞬間、冨岡が動き、彼の頭を押さえ付けた。

「冨岡さん?!」

 炭次郎は戸惑っていた。冨岡はこれまで、命を懸けて炭次郎を守っていたのだ。しかし、今は激しい苛立ちと怒りを露わにしていた。

「やれるか、やれないか。それだけ答えろ」

「やります!」

 炭次郎は即答した。鱗滝の教育の賜物だろう。

「殺します!」

「お前らは?」

 冨岡は、善逸と猪之助にも目を向けた。

「やってやらぁ!」

 猪之助は、特に考えずに返した。善逸は迷いの末、死にそうな声を絞り出した。

「⋯⋯俺は分かるよ⋯⋯。何があったのか⋯⋯。分かってます。⋯⋯煉獄さんの⋯⋯煉獄さんが見込んだ人が⋯⋯大怪我を負ったくらいで、震えるわけが無いですよね⋯⋯。や⋯⋯やります。許せない⋯⋯」
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