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【鬼滅の刃】継ぐ子の役割

第36章 決意


「別に良いよ」

 時透が気怠げに口を開いた。

「守ってくれなくて良い。少なくとも、僕にはそんな価値が無い。冨岡さんが宇那手さんのために死にたいのなら、好きにすれば良い。宇那手さんが守ろうとしている人の命まで背負えるなら。でも、本音を言うと、宇那手さんが死んで、冨岡さんが生き残ったら納得出来ないな」

 彼は珍しく宇那手の⋯⋯人の顔をちゃんと見た。彼女の瞳は、記憶に無い筈の誰かに似ていた。自分を守ろうとしてくれていた、誰かに。

「簡単に死なないでよ」

「⋯⋯火憐には、やはり不思議な力がある様だね」

 産屋敷は、優しい声色で囁いた。

「柱だけで無く、鬼の心も動かした。この場にいる全員が、君の命を最優先に考えている。私としても、友である君を死なせたくは無い。義勇と共に、此処にいなさい。君の弟子達も此処へ受け入れよう」

「人の出入りが増えれば、位置を把握されやすくなります!! 友人として、反対します!!」

「では、君の弟子たちに、全集中常中を身に付けさせる様に。それまでは、屋敷の外へは一切出さない。精鋭に鍛え上げなさい。良いね?」

「⋯⋯かしこまりました」

 宇那手は、渋々頭を下げた。

「さて、遊郭と、火憐の件はこれで終わりとして、次に、上弦の弐、童磨について。私は個人的に、奴を野放しには出来ない。鬼舞辻の次に憎むべき存在だ」

 産屋敷は、笑みを湛えていたが、声色に怒りが滲み出ていた。

「私の可愛い子供を二人も傷付けた。私に力があれば、手ずから殺してやりたいくらいだ」

「必ず私が殺します」

 胡蝶が断言した。

「出来るだけ苦しい毒で⋯⋯確実に」

「火憐の話を聞くに、人里離れた場所に巣食っている様だね。もう少し手掛かりがあれば」

 産屋敷は慌てて口を噤んだ。この言い方では、宇那手を責めているように捉えられると思ったからだ。
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