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【鬼滅の刃】継ぐ子の役割

第34章 糾弾


「しのぶ、火憐に治療が必要かな?」

 産屋敷は、深刻な顔付きで訊ねた。胡蝶は首を横に振った。

「腕の咬み傷は浅く、本人の言う通り、限界を超える疲労で倒れただけです。当然です。ただ、目を覚ました時、心が保てるかどうか⋯⋯。一晩中⋯⋯恐らく私たちの考えが及ばない様な方法で暴行されのですから。休養が必要です」

「酷い!! 酷いです!!」

 甘露寺は、益々しゃくりあげて、宇那手の身体に縋り付いた。

 他の柱もだ。取り分け不死川は、殺意を剥き出しに、地面を殴り付けた。

「許せねェ。コイツは冨岡を⋯⋯! 殺してやる!!」

「なんてこった! こうなるなら、協力なんざ、求めなかった!」

 宇髄は不死川と同じくらい衝撃を受けて拳に力を入れた。彼は自身の嫁に、己の命を第一優先にしろと言い聞かせていたが、火憐には何も言っていなかった。言わずとも、殆ど会話をしたことの無い自分のために、命を掛けるとは思わなかったからだ。

「火憐を今すぐ私の部屋に運んでおくれ。現状最も守りが固いのは私の部屋だ。この子は、また連れ去られる可能性がある。吉原の件については、夜、再び話そう。しのぶは私に着いて来ておくれ。誰か義勇を呼びに行くように」

 産屋敷は、矢継ぎ早に指示を出すと、残った柱たちに目を向けた。

「火憐を許してやって欲しい。結果を急いだ私のせいで、危険に晒してしまった」

「許すも何も⋯⋯まずは、早急に回復させるべきです」

 伊黒が、何時もよりずっと慎重に言葉を選んで言った。

 悲鳴嶼も、相当精神的苦痛を味わっていた。

「なんたることだ⋯⋯。あの時私が、行動を咎めていれば⋯⋯」

「咎めていても、火憐は動いただろう。私のせいだ。すまない。皆、少し時間をくれ」

 産屋敷は、踵を返し、屋敷の奥へ引き篭もってしまった。

 胡蝶は宇那手を抱き抱え、隠に案内され、初めて産屋敷の寝所に入った。
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