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【鬼滅の刃】継ぐ子の役割

第34章 糾弾


 カランと音がした。胡蝶が瓢箪を取り落としたのだ。上弦の弐の特徴は、彼女の姉を殺した鬼と特徴が完全に一致していた。

「どうして⋯⋯どうやって貴女は殺されずに逃れたのですか?!」

「鬼舞辻が、私を殺さぬ様命じたからです。明け方近くに、崖から放り出されました」

 弱々しく笑う宇那手を、胡蝶は抱きしめた。

 産屋敷は、深刻な表情で膝を着いた。

「その情報は信頼に足る物だと考えてる。しかし、他の柱も納得出来る様、何を対価にしたのか説明して欲しい。義勇、お前は席を外しておくれ」

「⋯⋯御意」

 冨岡は、歯を食いしばり、その場を立ち去った。

 宇那手は、胡蝶の腕の中で、目を閉じ、何とか口だけを動かした。

「鬼舞辻に、有益な情報を与えました。禰豆子が近々日光を克服する可能性を伝え、不用意に鬼を増やすより、彼女の変化を待ち、喰らうように助言しました。それだけでは不十分と感じたので、私自身を差し出しました。鬼と人間の間に生まれた子供が、人間に近い性質を持った鬼である可能性を示唆して。幸い私は、精神的重圧により、生殖機能を失っていますので、実害は無いと判断しました。鬼舞辻に襲われると思ったのですが、奴はその労力すら惜しんだ。代わりに⋯⋯ 童磨を呼び、私を⋯⋯。奴は、二百回、自分と交わっても正気を保っていれば、解放すると⋯⋯。誓って、重要な事は喋っておりせん。ですが、拷問に等しかった⋯⋯」

 近くに控えていた隠も、顔色を失った。

「胡蝶様⋯⋯」

 宇那手は、袖から紙切れを取り出した。

「私が調合し、簪に染み込ませていた毒です。致死量でしたが、童磨はこれを完全に吸収し、短時間で回復しました。毒で殺すのは、至難の技です。⋯⋯すみません。限界です」

 彼女はガクリと脱力し、意識を失ってしまった。

「火憐さん!」

 胡蝶は怒りと悲しみに支配され、叫んでいた。

「火憐、どうしてそんな無茶を!! 許さない!! 姉さんどころか、この子まで!!」
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