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【鬼滅の刃】継ぐ子の役割

第34章 糾弾


「義勇。本当に何も分からないのかい?」

 煉獄の死により開かれた、緊急柱合会議で、産屋敷は珍しく怒りを露わにしていた。

 唯一、柱になる条件を満たしていた宇那手が、消息を絶ったのだ。

「申し訳ございません。書き置きさえ無く、鴉も後を追えず、行方が分かりません。恐らく──」

「鬼舞辻の元へいったのだろう。だが、浅草方面には向かっていない」

「殺された⋯⋯と考えるべきでしょうか」

 胡蝶が青白い顔で呟いた。その言葉を皮切りに、黙って堪えていた不死川が、冨岡に掴みかかった。

「テメェ、ふざけんなよ!! テメェが殺した様なもんだろうがァ!!」

「お館様の前だ。喧嘩は止めてよ」

 時透が抑揚の無い口調で制した。彼は宇那手の事をあまり覚えていなかった。

 胡蝶は、内心酷く傷付き、冨岡に対して怒りを覚えていたが、冷静に口を開いた。

「先のことを考えなくてはなりません。柱の席を空席にしておけば、鬼殺隊の戦力がこれ以上無い事を悟られてしまいます。現状最も階級の高い者は誰でしょうか?」

「乙が一人だけいた筈だ。討伐数はそこそこだが、十二鬼月は倒していない」

 伊黒がポツリと溢した。

「辛から丁の中堅隊士はそこそこいるが、どいつもこいつも、十二鬼月に手こずる様な能無しばかりだ。冨岡。貴様は失態に失態を重ね過ぎている。どう責任を取るつもりだ」

「火憐の分も鬼を斬る」

 冨岡は、宇那手との会話を思い出して、そう答えた。

 ぷつんと感情の糸が切れたのだろう。甘露寺がボロボロ泣き出してしまった。

「火憐ちゃん⋯⋯。優しい子でした。私のこと、ありのまま受け入れてくれて⋯⋯」

「お館様!!!」

 隠が大声で叫んだ。普段なら、決してそんな真似をしない彼に、産屋敷は顔を向けた。

「火憐さん?!」

 胡蝶は、パッと口を覆った。

 宇那手が、隠に両腕を担がれ、殆ど引き摺られる様に現れたのだ。左腕から出血している以外に、外傷は無かったが、髪が縺れ、憔悴しきっていた。

「遅くなって⋯⋯申し訳ございません」

 彼女は殆ど息だけで言葉を捻り出した。
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