第33章 悪鬼の笑み※
「それは!!」
宇那手は、抑えきれない怒りを爆発させた。間違いなく胡蝶しのぶの姉だ。
「先代花柱を殺したのか?!」
「ああ。確か、柱だったね。それ程強くは無かったけれど。弱いなら弱いなりに、頭を使えば良いのにね。君の様に」
童磨は、抵抗しない宇那手の服を脱がせて行った。
「あの方のお気に入りを可愛がれるなんて、幸運だよ」
「質問。⋯⋯吉原の鬼は何体?」
「普通こういう場で聞く? ⋯⋯一体だよ」
「嘘。鬼舞辻様は、複数体いる様な口振りだった」
「まあ、人間はアレを二体と認識するだろね。でも一体だ。意味が分かるかな?」
「⋯⋯二体で一体分。そういうことね。倒すのにコツがいりそう」
「答えてあげたんだ。何かお礼が欲しいな」
「⋯⋯っ」
宇那手は、不気味な男に左腕を差し出した。腕を持ち上げるだけでも、随分苦労した。
「齧れば?! でも噛み切らないでよ!!」
「では、遠慮なく」
童磨は宇那手の腕に牙を立てた。瞬間、彼女は全身に電流が流れた様な刺激を受け、身体を反らせた。
「うん。やはり堪らなく美味い。勿体無いなあ。鬼にするより喰った方が良い」
自らの血を啜られる光景を目の当たりにして、宇那手は震えていた。恐怖心からでは無い。血を吸われる度、舌が腕を這う度に、快楽に似た刺激が全身を駆け巡るのだ。
「あれ? ひょっとして、もう感じているの? 極楽の入口へようこそ」
堂磨は宇那手に覆い被さり、まるで人間同士の逢瀬の様に、丁寧に服を脱がせた。
「結構着痩せするんだねえ。ちゃんと女の子の身体だ」
彼は気味の悪い笑みを絶やさず、宇那手の胸の頂に長い舌を這わせた。
「嫌っ! そんなこと⋯⋯何のためにっ!!」
宇那手は涙目で声を上げた。身体は自由に動かせない。何か飲まされたと考えるのが妥当だ。
童磨は笑みを深めた。
「君の身体が壊れない様に、解してあげているんだよ。あの方のお気に入りだからね。特別の配慮だよ」
「そんな配慮は要らない!! さっさとやることを済ませて⋯⋯私を離せ!!」