第4章 蝶屋敷
「失礼します」
胡蝶は、何時もの笑みに戻り、背伸びをして冨岡の額に触れた。
「あらあら。どうやら本当に熱がある様ですね。馬鹿は風邪を引かないはずなのに、おかしいです」
「俺は馬鹿じゃない」
「それは即答出来るんですね。ともかくベッドへ行ってください」
胡蝶は冨岡の背後に素早く回り込み、背中を押した。瞬間、すぐ脇の部屋の扉が勢い良く開いた。
「胡蝶様! あの継子の方、熱があります!」
「まあ。それでは、宇那手さんが感染源ですね。彼女は馬鹿ではありませんから」
胡蝶はクスクス笑い、冨岡を宇那手と同じ部屋に押し込んだ。