第27章 私事
「村田さん。出来れば二人きりで話をしたいのですが、良いですか?」
宇那手の申し出に、村田は顔を上げ、返事をした。
「はい!」
「では、他の者は、街へ行くなり、部屋で過ごすなり、好きにしてください。但し、夕食までには戻る様に」
宇那手は話を切り上げ、冨岡に苦笑を向けた。
「この方は信頼出来ますね? 居間で話をさせてください」
「構わない」
冨岡も、村田に対しては一定の信頼を示した。宇那手は立ち上がり、穏やかな調子を取り戻して微笑んだ。
「茶菓子を用意しますので、先に行っていてください」
「はい」
村田は、同期の冨岡にも一礼してから立ち上がった。