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【鬼滅の刃】継ぐ子の役割

第27章 私事


 柱に向かって言うような言葉では無いが、彼女の膨れっ面が、話の程度を小さくしていた。

 冨岡は座り直し、宇那手に向き直った。

「俺は出て行かないし、お前は鬼では無い。そもそも俺は、人間に興味が無い」

「おい!」

 隊士の一人がうっかりツッコミを入れていた。冨岡は一瞬彼を睨んだが、すぐに宇那手の目を見た。

「誓って、お前以外の人間には触れない」

「私にも、昼間は必要以上に触れないでください。⋯⋯っ」

 宇那手は見逃さなかった。好奇心からだろう。好戦的な態度を取っていた隊士が、彼女に向かって腕を伸ばした。

 宇那手の反応は、冨岡を上回っていた。彼女の簪が空を飛び、隊士の首に浅く突き刺さった。

「がっ!!」

「好奇心も結構ですが、警告はしました。貴方が人間で、良かったですね」

 宇那手は、男に歩み寄り、簪を抜き取ると、袖からガーゼを取り出し、傷口に強く押し当てた。

「そのまま押さえていれば、時期止まります。加減しましたから。この簪には、藤の毒を仕込んでありますので、並の鬼なら身体が腐り果てて死んでいたでしょう。⋯⋯私の能力を疑っているのでしたら、本気でお相手しますが。勿論、今後戦線復帰出来るかは、保証致しかねます」

 彼女は傷を負わせた隊士だけではなく、全員を見回した。

「誤解の無い様、伝えておきます。私は六十体以上の鬼を斬り、下弦の十二鬼月を二体殺しました。その功績を評価され、水柱の継子となり、甲の階級をいただいたのです。師範との間にある、個人的な感情は一切関係ありません。必要があれば、私は師範を斬る覚悟もあります。勿論、師範もです。私が鬼になれば、口でどう言おうと、頭でどう考えようと、私を斬るでしょう。⋯⋯私はともかく、水柱に対する敬意はお忘れなく」

「申し訳ございません!!」

 全員が、床に手を着き、深く頭を下げた。
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