第26章 特別稽古
母屋へ戻ると、冨岡が複雑そうな表情で立っていた。
「どうしました? 何か気掛かりな事がおありですか?」
宇那手が訊ねると、冨岡は目を伏せた。
「男が増えた」
「⋯⋯ぷ」
宇那手は、思わず吹き出してしまった。
「今晩でしたら、一緒に過ごせますよ?」
「先週の痛みを、もう忘れたのか?」
「覚えているからこそ、です。月に一度と言ったら、貴方は加減してくださりますか?」
「無理だ」
「では、今夜。⋯⋯すみませんが、お館様にお手紙を書かなければいけません。本当なら、会いに行きたいのですが、やることが色々あって、申し訳ない限りです。何か新しい悩みを抱えていないか、心配です」
宇那手は文机に向かった。