第25章 予想外※
「宇那手さん、何処が痛みますか? どんな痛みでしょう?」
「⋯⋯腹部が、鈍く痛みます。内側に引っ張られる様な感覚があります」
「子宮に圧が掛かったせいですね。堪えられる程度でしたら、鎮痛薬は使用しません。回復したのか、薬の効能で痛みを感じないのか、判断が出来なくなりますので」
「大丈夫です。⋯⋯ご迷惑をお掛けしました。恥入って然るべき⋯⋯。今すぐ殺していただきたいくらいです⋯⋯」
「駄目です。殺すなら冨岡さんが先です」
「⋯⋯胡蝶様。私の身体、どの様に傷付いているのか、具体的に教えていただけませんか? 呼吸で直します」
「⋯⋯出血はありましたか?」
「はい」
「うーん」
胡蝶は、なんと伝えるべきか、慎重に言葉を探した。
「治す必要はないかと思います。多分⋯⋯その⋯⋯冨岡さんの言葉から判断するに、随分と無理矢理、余計に処女膜を破られてしまった様ですので、それが原因です。もっと慎重に慣らしてからなら、出血も無く、痛みも感じなかったはずなんですけれどね」
「では⋯⋯このままの方が良いのですね?」
「もう二度と、冨岡さんと関わりたくないのなら、傷を塞いでしまった方が楽でしょうが⋯⋯」
「それだけは出来ません! 師範⋯⋯」
宇那手は、冨岡に向かって手を伸ばした。彼はその手を取り、無言で顔を覗き込んだ。宇那手は、今にも泣きそうな顔で、震えている。
「呆れましたよね⋯⋯。嫌いに⋯⋯なりましたよね⋯⋯。本当の自分なんて、見せたく無かった」
「嫌う理由が無い。処置の必要が無いなら、もう眠れ。悪いのは俺だ」
冨岡がそう返し、しばらく宇那手の頭を撫でていた。
十分程で、彼女は観念し、眠りに沈んで行った。
胡蝶は宇那手の脈を測ってから、溜息を漏らした。
「まさかご自分で飲まれるとは、考えていませんでした。渡したことも忘れていて⋯⋯今回ばかりは、冨岡さんにも、申し訳ない事をしました。⋯⋯冨岡さん?」
なんと、彼は立ったまま眠りそうになっていたのだ。どうやら、体力を激しく消耗し、疲れ切っているのは、彼も同じだったらしい。
当然といえば、当然だ。宇那手も、常人離れした体力の持ち主で、彼女の欲求を満たすのは、生易しい事では無かったはず。