第25章 予想外※
「くっ⋯⋯クソ⋯⋯」
彼は宇那手が仰反ると同時に、一番深い場所へ欲望を放ってしまった。
宇那手は、虚な瞳で天井を見詰めていた。
「火憐⋯⋯火憐!」
自身を引き抜き、強く呼び掛けると、宇那手は微かに微笑んだ。彼女と目線が合った瞬間、彼は宇那手が正気を取り戻している事に気が付いた。
「火憐、身体はどうだ?!」
「⋯⋯幸せ」
宇那手は、問いに対して、適切な答えを返さずに、気絶してしまった。
「火憐、返事をしろ! 何か言え! 火憐!!」
冨岡の必死の呼び掛けにも、彼女は応じなかった。
今更ながら、布団に飛び散っている赤い血の色が、行為の激しさを物語っていた。
冨岡は急いで身なりを整えた。
自分が汚してしまった宇那手の身体も、湯に浸した布で、可能な限り清め、衣服を着せた。
どう考えても、宇那手は、身体の深い場所を損傷している。放ってはおけなかった。
冨岡は、殺される覚悟で、彼女を抱き抱え、闇夜を駆け抜けた。